シャンプーって色々な呼ばれ方がありますよね。
随分前だとノンシリコンシャンプーやオーガニックシャンプー。
ちょっと前だとボタニカルシャンプーとか。
最近だとノンカチオンシャンプーなんていう分類まででてきました(笑)

え?髪に優しいボタニカルシャンプー?なにそれ・・・?
と美容師は思ってしまうわけです。
髪に優しいかどうか?とボタニカルだとかオーガニックだというのはあまり関係がないからです。
色々ごっちゃになっている人も多いようなので今回はシャンプーの中身は何が入っているのかについての説明です。
シャンプーの主な内容成分
シャンプーの中身の50〜70%は水です。
そして30〜40%は界面活性剤が入っています。
10〜20%は防腐剤や香料といったその他の成分が入っています。
色々なシャンプーがあるけど基本の形はそんなにかわりません。
水+界面活性剤+その他
です。
水の次に多いのが洗浄成分(界面活性剤)なのでシャンプーの性質を決定するのは30〜40%を占めるこの界面活性剤だといえますよね。
実際にプロの美容師はボタニカルがどうだとかオーガニック成分がどうかではなくて界面活性剤のバランスでシャンプーの良し悪しを考えます。
界面活性剤の種類
シャンプーをする目的の1番は頭皮の古くなった皮脂を程よく落とす事です。
汗や皮脂や頭皮の常在菌が混じり合った皮脂膜は頭皮を守る天然のバリア機能なのでこれをゴシゴシと落としすぎると肌が紫外線や乾燥といった影響をうけてしまうので頭皮トラブルのもとになります。
かといってシャンプーをしない方が良いのかというとそうでもなく、頭皮に溜まった皮脂が時間が経ったり紫外線を浴びて酸化すると過酸化脂質という脂に変わります。
これは簡単にいうと腐った脂なので臭いし皮膚にも悪影響で、抜け毛や薄毛の原因ともいわれています。
シャンプーによる皮脂の取りすぎや湯シャン(お湯だけで頭を洗う)による過酸化脂質の問題は色々と議論されていますけど簡単にいうと
頭皮の古くなった皮脂を程良く落とせればいい
それだけの様な気がします。
そこで重要になってくるのが頭皮の皮脂を落とす為の洗浄成分(界面活性剤)です。
界面活性剤の主な種類には
- アニオン界面活性剤
- カチオン界面活性剤
- 両性界面活性剤
- ノニオン界面活性剤
があります。
ちょっと難しいですよね?
わかりやすい分類に変えると
- 高級アルコール系(石油系)
- 石鹸系
- アミノ酸系
これなら良く耳にするんじゃないかなと思います。
この3つの特徴を簡単にまとめてみるとこうなります↓
高級アルコール系 | 洗浄力も肌への刺激も強い。値段は安い。 |
---|---|
石鹸系 | 洗浄力は強いけど肌への刺激は弱い。値段は安い |
アミノ酸系 | 洗浄力も肌への刺激も弱い。値段は高い |
高級アルコール系というのは代表的なところではラウレス硫酸Naの事です。
これはサルフェート系(硫酸系)と呼ばれるので『サルフェートフリー』と書いてあるシャンプーはこういった硫酸系の界面活性剤は使っていませんよという事になりますね。
なにかと悪者扱いされるラウレス硫酸Naですがスーパーで安く売られているシャンプーのほとんどにこの洗浄成分が入っています。
ラウレス硫酸Naってそんなに悪いものなの?
美容師が中途半端な事をいうと誤解されていくのではっきり言うとラウレス硫酸Naなどの高級アルコール系は肌にも髪にも悪いです。
髪の油分も頭皮の皮脂も取りすぎる上に皮膚毒性も高いので敏感肌の人が使い続けるとトラブルが悪化するでしょう。
僕もわりと肌が弱いのでこういったシャンプーは一切使いません。
かゆくなったりフケがすごくなるので。
カラーリングの色落ちもすごいし髪がキシキシになります。
(それを隠すシリコンが入っていたりトリートメントにガッツリと皮膜成分が入っているので気がつかない人も多いかもしれませんが・・・)
ただかなり安く購入できるのでシャンプーにお金なんかかけていられない!という方にとってはありがたいシャンプーなのも事実。
”高級アルコール系(昔風に言うと石油系)のシャンプーは別に悪いわけじゃない”という人がいるからややこしくなってしまうんだけど、たしかに高級アルコール系は毒ではないです。
でも髪や頭皮にはまったく良いところはないです。
コーラって毒ではないけど身体に良くはないですよね?
コーラを勧めてくる医者もいないです。
それと同じで美容師で高級アルコール系のシャンプーをすすめる人なんかいないと思います。
アミノ酸系は髪にも地肌にも優しい?

となりますよね。
でもそれは少し誤解があります。
まず石鹸系シャンプーは肌への刺激は少ないけど洗浄力が強めなので乾燥肌の人には向かないのと髪のダメージがある人にはまったく向きません。
石鹸は弱アルカリ性なので弱酸性の髪を石鹸で洗うと髪の毛が膨潤してキューティクルが開いてしまうんですね。
洗っている時のキシキシ感もハンパないです。。
石鹸系といっても固形や液体かでも違うしオリーブ石鹸やアミノ酸と石鹸のブレンドなどもあるので一概には言えないんだけど基本的に石鹸系は洗浄力が強めです。
じゃ、アミノ酸系はどうか?

と言っている美容師もいるけどアミノ酸系のシャンプーで毎日お客様の頭を洗っていて手荒れするのはなぜでしょう?
肌に優しいなら洗えば洗うほど手が潤ってツルツルになるはずですよね?
所詮洗浄剤には変わらないからアミノ酸系の界面活性剤だって肌に優しいわけではないんです。
ラウレス硫酸Naや石鹸系に比べると洗浄力も肌への刺激も低いだけです。
でも毎日頭皮を洗うならこういった洗浄成分の強さや刺激はかなり重要ですよね?
少しでも地肌や髪を傷めない方がいいに決まってるから美容師がおすすめするシャンプーはアミノ酸系シャンプーの一択となるわけです。
*ラウレス硫酸Naとアミノ酸系の代表的なラウロイルメチルアラニンNaだと洗浄力や脱脂力にかなりの差があります
その他の成分
水と界面活性剤の他には
- 防腐剤
- 酸化防止剤
- 紫外線吸収剤
- 保湿剤
- 香料
- ph調整剤
- キレート剤
などがシャンプーには入っています。

そう思いますよね。。
でもこういった補助成分が入っていなければすぐに腐ったりカビたりして使い物にならないんですよね。
シャンプーを安定させて保存させるには色々とバランスが難しいらしいです。
それらに加えて○○エキスや○○オイルといったオーガニックエキスやボタニカルエキス(ほとんど同じような意味です)が入っている場合があります。
エキス類は抗炎症作用があったり保湿作用があったり血行促進作用があったりします。
こういったエキスが10種類くらい入っているとなんとなく髪にも頭皮にも良さそうな気がしませんか?
たとえ洗浄成分がラウレス硫酸Naだったとしても・・・。
でもエキス類ってほんの少ししか入っていない場合が多くて本当にそんな数%のエキスで効果に違いがあるのかどうか僕は疑問です。
だってシャンプーってすぐ流しちゃうし・・・。
こういった成分はいくらか違いがあるにせよシャンプーを差別化する為のものなのかな?と僕は思っています。
本当にエキス系の効果を利用したいならシャンプーじゃなくて洗髪後の頭皮用ローションでしっかり地肌になじませた方がいいでしょうね。
シャンプーで本当に重要なのは洗浄成分の組み合わせや防腐剤といった補助成分の種類かなと思います。
なのでボタニカルシャンプーなのはいいけど洗浄成分は何なの?という話なんですよね。
アミノ酸系の界面活性剤といったってかなりたくさん種類があるし、それぞれ洗浄力が違います(いずれ別記事にて詳しく書きます)。
シャンプーを選ぶ時の基準に気をつけましょう
今回はシャンプーの中身は何が入っているのかについての説明でした。
薬用シャンプーは特殊なんですが普通のシャンプーだと裏の成分表記は配合量の多い順に成分が表記されています。
界面活性剤も通常は1つではなくて3〜4つくらいのものを組み合わせて構成されています。
ラウレス硫酸Naやオレフィン(C14-16)スルホン酸Naあたりが配合されている安いシャンプーがとても多いですが、このシャンプーにどんなボタニカルエキスが配合されていたとしても良いシャンプーにはなりません。
- ボタニカルエキスが少し配合されている→ボタニカルシャンプー
- オーガニックエキスが少し配合されている→オーガニックシャンプー
- シリコンが配合されていない→ノンシリコンシャンプー
- カチオン界面活性剤が配合されていない→ノンカチオンシャンプー
こういったネーミングはシャンプーのメインではないところにフォーカスを当てたものなのんですね。
例えばノンシリコンシャンプーと言ってもラウレス硫酸Naやオレフィン(C14-16)スルホン酸Naが主成分だったとしたらいったいどこがいいの?というはなしです。
年とともにだんだん皮脂も減ってきてお肌も弱くなってしまう事が多いのでシャンプーは頭皮にも髪にも優しいものを選ぶようにしてみてくださいね。
